スイートネットワーク海外支部"プリン"が世界中のいろんな場所で出会った甘い(時にはビターな)お話をお届けします。


by pudding-world

パンクなサッカーとサブカルチャーの発信地

ワールドカップもついに終了。
ドイツ代表は3位となりましたが、その結果以上に素晴らしいプレーをたくさん見せてくれました。
今回は、ドイツのサッカーのお話を交えてレポートしたいと思います。

ワールドカップはドイツ語でWeltmeisterschaft、略してWM(ヴェーエム)といいます。
ドイツ人のサッカーにかける情熱といったらハンパじゃなく、WMの時期は国中がサッカー一色といってもいいくらい。
先日歯医者に行ったらスタッフ全員の制服がドイツ代表Tシャツになっててびっくり。そして先生のマスクにはなんと国旗マークが書かれていました(笑
ドイツ戦の日なんてもう、街中がお祭り騒ぎ。みんな一丸となって応援し、喜びや悲しみを爆発させています。
こんなに皆から愛されて応援されて、選手たちは幸せだなあと思います。

日本ではほとんどサッカーに興味のなかった私も、こちらへきてサッカー観戦が俄然楽しくなりました。
今年の代表チームはほんとうにすばらしかった!主将バラックが抜けてどうなることかと心配されていましたが、今までに見たことないようなチームワークの良さは、新主将になったフィリップ・ラームの影響が大きいというのが大方の意見です。
ラームはドイツチームの良心のような人で、サッカー選手には珍しいほどの社会派。様々な社会的活動に参加したり、自身の資金で財団を設立し、アフリカの子どもたちのためのサッカープロジェクトに取り組んだりしています。

そんな彼の影響もあったのでしょうか。南アフリカをバス移動中に見た貧しい村や人々にショックを受けた選手たちは、何かできることはないかと話し合い、WMのあいだ、試合ごとに子どもたちを招待することにしたのだそうです。
スタジアムでサッカー観戦なんて夢にも見られなかった子どもたちは、どんなに喜んだことでしょうか。
この出来事が、困難な環境におかれた子どもたちに与えた希望ははかりしれません。
サッカーが強いだけでなく、こんなところもドイツ国民が誇りに思えるチームたる所以なのでしょう。
私も今回のWMでますますドイツチームが好きになりました。

WMがないときもドイツの人々はブンデスリーガ(国内リーグ)で盛り上がっています。
今年優勝したバイエルンや、以前高原選手が所属していたハンブルクSVあたりは日本でもよく知られていると思いますが、そのハンブルクに、もうひとつサッカーチームがあることをご存知でしょうか。
今回2次リーグから1次リーグに昇格したFCザンクトパウリ(FC St.Pauli)。サッカー界のなかでは異色といわれるチームです。
なぜ異色かといえば・・・
b0126715_0142881.jpg
シンボルはドクロマーク。昨今何かと人気のパイレーツですが、ザンクトパウリは100年前からこのマーク。
ユニフォームやグッズもサッカーチームとは思えないほどクールです。
b0126715_015863.jpg

本拠地は歓楽街で有名なレーパーバーンに近い老朽化したスタジアム(※現在工事中)。
ハンブルクでは一般的に、ホワイトカラーの人々はハンブルガーSVのファン、ブルーカラーにはザンクトパウリのファンが多いといわれていますが、街の様子をみるとザンクトパウリの方がより地域に根付き、より深く愛されているように感じます。
ブンデスリーガというと大概地元チームを応援するものですが、ザンクトパウリは地元のファンに熱烈に愛されているのはもちろん、そのパンク精神あふれるスタイルがハンブルク以外でも支持されているという、ちょっと特別な存在なんです。
じつは私も隠れファン。別に隠れなくともいいのですが(笑)
サッカー云々よりも、このあたりの地域もひっくるめてその存在が好きです。

b0126715_016548.jpg
              ザンクトパウリにチベットの旗。このエリアらしい光景です。

ザンクトパウリから隣のSchanze(シャンツェ)地区にかけては、大資本系チェーン店は無いかわりに、小さなカフェやレストラン、若いデザイナーのアトリエ兼ショップなど個性的なお店がたくさん集まって、サブカルチャーの発信地になっています。
東京でいえば下北沢をもっとのんびりさせたような、ベルリンでいうならプレンツラウアーベルククロイツベルクのような、リベラルな雰囲気がいっぱいのエリアです。
このごっちゃり感と自由でゆる~い空気が私にはとっても居心地良くて、ハンブルクへ行ったらほぼこの辺りで過ごしているといってもいいくらい。

b0126715_0173872.jpg
朝から晩まで賑わっているシュルターブラット通りには、ハンブルクに多いポルトガル・カフェ、新鮮な魚をその場で料理してくれる安食堂、イタリアンやタパスの店などがずら~っと並びます。
私が毎日のように通う(時には日に何度も)のが、ポルトガル・カフェの「Transmontana」というお店。
ポルトガルのオリヴェイラさん一家が営む庶民的なカフェは、朝の賑わいといい、午後の気だるい感じといい、まるごと本物のポルトガルのよう。
ハムやチーズなど好きなだけ具を選べるホットサンドや、手作りのポルトガル菓子がとっても美味しいんです。
b0126715_018112.jpg
絶品のナタ(エッグタルト)。飲み物はガラオ(ミルクコーヒー)とドイツで人気急上昇のラバーバーショーレ(リュバーブの炭酸飲料)。


シャンツェでケーキを食べるならここ、「Herr Max 」。
b0126715_018263.jpg
      ミルク屋さんだった建物の古いタイルをそのまま使用。とてもチャーミングな空間。

ドイツ風の伝統的なケーキばかりでなく、小さなタルトやフィナンシェといったフランス風のものやクッキーなどの焼き菓子、チョコレートまで、奥の工房で作られた新鮮なスイーツが並びます。
材料はできるだけビオ、コーヒーはフェアトレードのものを使用。
b0126715_0191557.jpg
             ドイツで定番のリュバーブとメレンゲのケーキ。


安いインビス(軽食店)から各国のレストランまで食事処も充実のシャンツェですが、最近新たなランドマークとなっている超人気店が、ドイツで有名な料理人、ティム・メルツァー氏のレストラン&ビストロ「Bullerei/Deli」です。
b0126715_0195959.jpg
数年前、テレビのクッキングショーに登場したティムは、ドイツに一大クッキングブームを巻き起こしました。
本人も料理もカジュアル&自由なスタイルで、ドイツのジェイミー・オリバーともいわれていますが、私のなかでは日本のケンタロウさんに近いイメージです。

店内はレストランBullereiと、カジュアルなDeliに別れています。
長~い木のテーブルが並ぶレストランもいい雰囲気ですが、オープンキッチンで喧騒が心地いいDeliがとても気に入りました。
相席になった人と自然に話が弾むような、オープンな空間です。
b0126715_0202463.jpg
                Deliの店内。ティム氏も登場。

b0126715_0204257.jpg
名物の薄いピザと、野菜がごろごろ入ったハンバーガー。同行者は、今まで食べたハンバーガーの中で一番美味しい!と絶賛してました。

b0126715_22522296.jpg
上の写真におにぎりが写っているの、わかりますか?日本ではあたりまえのフィルム包装のおにぎりですが、まさかこんなところでお目にかかれるとは!思わず興奮です。
具はトマト&ルッコラ、チキン&コリアンダーなど。さすがはティム。
左上にあるドリンクは、「Chari Tea チャリ・ティー」というビオでフェアトレードのアイスティー。


「チャリ・ティー」もそうですが、「アストラ・ビール」や「フリッツ・コーラ」、「ラバーバーショーレ」など、ハンブルクには個性的な"地ドリンク"が多く、特にシャンツェ地区ではこういったドリンクを置く店を多く見かけます。
いまやコカコーラにも勝る勢いの国民的人気飲料となった「ビオナーデ」は、もともとドイツ南部で誕生しましたが、ハンブルクで人気に火がつき、じわじわと広がっていきました。

地産のものや小さなメーカー、人や環境に優しいもの、誰かの真似ではなくオリジナルなものを大切にするオルタナティブな土壌が、シャンツェの街にはあるようです。


■Transmontana
Schulterblatt 86 Tel:43 18 40 06

■Herr Max
Schulterblatt 12 Tel:69 21 99 51

■Bullerei/Deli
Langerstr 34b Tel:33 44 21 10


♪♪本日の音♪♪
THE BLUE HEARTS
ザンクトパウリにいるとなぜか思い出すブルーハーツ。
大人になってから改めて歌詞のすごさに心を揺さぶられました。
むくむくと元気がでてきます。
[PR]
by pudding-world | 2010-07-13 02:00 | ドイツ